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by murkhasya-garva
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借りぐらしのアリエッティ

『借りぐらしのアリエッティ』(2010)
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ジブリ作品は取りあえず観なければ始まらん!!
監督は米林宏昌という新人。しかも観た人が言うには「ジブリを観るつもりで行ったら残念なことになる」と。さてこれはアリエッティだったのかアリエンティーだったのか。←もうこれ消す(泣)


個人的には十分満足のいくものだった。ここには確実にジブリの世界があった。新人だというのに、ここまでの作品をよくぞ…と満足しきりだった。初めてでこれなら、十分だろう。それ以上何を求めるのか。

美しい背景、登場人物たちの何気ないしぐさ、それらは確かにジブリのそれだった。
恐らく米林監督は、ジブリの作品を仕事上であれ、さんざん観てきたのだろう。そのうえで自身の好きなジブリをいたるところにちりばめてある。たとえば草むらの中を駆け抜けるアリエッティは小トトロだし、ツタを登っていく姿はパズーやシータに重なる。母を心配して泣き出す姿はサツキに、家政婦の意地悪さはジゴ坊に。猫の鼻面に触れるのは、あれはもうトトロだろう!!他にもたくさんあった。実際に確認してほしい。

説明不足の感はあるが、作品としてのまとまりはいい。ただ、テーマとなると少し分からなくなる。それはそうだ。床下に住む小人の顛末を描くあたり、そこにどのようなテーマを求めるというのか。エコロジーとか言ってみてみてもはじまらないだろう。「テーマが分からない」だと?『もののけ姫』から毒されてきたんじゃないのか?
ここで注目すべきは、テーマではなく作品の出来だと言っておこう。そうすれば大多数の方たちが求めるものも少なからず見えてくるはずだ。

本作のほとんどは小人の視点から描かれる。彼らにとっての水はゼリー状で、粘着テープは一人分の体重を支えるに十分な強度を持っている。角砂糖やビスケットは潰して顆粒状にしてから使う。また、猫やカラスは驚異的で、なによりも人間の存在を非常に警戒している。この一つ一つの描写、そして人間とのかかわりは、普段の生活でおめにかかれないものばかりだ。そのような小さな世界に思いをはせるというのは、どのような体験なのだろう。

そこでは当たり前だと思っていることが当たり前ではない。小人たち、特にアリエッティの視点から、世界に対するその新鮮な想いがまざまざと伝わってくる。これは何と言うのだろう。小さいものへのまなざし、あるいは愛情だろうか。
このディテールこそが本作の醍醐味だろう。ジブリ作品には、これまでに他の者たちの視線が入っていた。そして、それによってあの細かな描写が生まれてきたのだと思う。

確かに、本作は小品ともいうべきものだ。あまり大きなものを詰め込んでいるわけではない。作風にしてもジブリとジブリの作品を踏襲している部分が非常に大きい。そのために、米林監督はただの一ジブリファンだと言われても仕方あるまい。しかし、彼がこの作品に自身の表現をささやかながら、しかし明らかに盛り込んでいること、そして宮崎駿を継承しようとしたことはどう考えても評価すべきだと思う。宮崎駿にはなれないまでも、米林宏昌というジブリの監督として確実にやっていけることだろう。彼が、今後もっと面白い作品を作っていくのを期待せずにはいられない。
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by murkhasya-garva | 2010-08-18 00:08