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by murkhasya-garva
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馬頭琴夜想曲

『馬頭琴夜想曲』(2006)
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これまで多くの映画の美術監督を務めてきた木村威夫氏が、自ら監督として製作した作品。これが公開されたのは4年前。きらびやかなスチルに興味を引かれていたが、当時は見に行けず。今回は、京都みなみ会館の木村威夫特集の一つとして本作が上映されている。5/22まで。



冒頭、降りしきる雪の中に見える淡い緑の西洋建築。よく見ると作りものだとすぐ分かるのだが、それと合わせて降り続ける雪もまた作りもの感が強くて、見ようによってはフィルムの劣化にも映る。それともこの作りもの感、どうもパペットアニメーションっぽくないか、なんつて思いながらも一層幻想的な感じでまたいいなあ、とそんなのは序の口にすぎなかった。

その西洋建築は教会で、入口から出てくるのはシスター。まず彼女が生身の人間なのに驚く。舞台のようなしつらえ方は、鈴木清順監督の『オペレッタ狸御殿』(2005)のようでもある。これは「見せる」ために作られた舞台だなあ。リアリティとか関係ねえな。手描きの絵と切り出されたような小さなバレリーナ、そして異世界か紙芝居の世界を思わせる映像は、決して最新の技術を用いているわけではない。木村威夫その人が納得する方法だけを用いた、という感が次第に色濃く現れてくる。

内容も、そこまでストーリーが明確にされているわけではない。原爆体験をくぐりぬけて60年の歳月を過ごしたシスターの語りと、教会で育てられた少年の脚が奇跡によって治る物語が軸となり、鈴木清順ふんする“にせ予言者”の「ヨバネ」と山口小夜子ふんするザロメが馬頭琴をめぐってやりとりしている。何のこっちゃ、と思われるかもしれない。私の説明がまずいのもあるけど、実際をみてもよく分からない。

実験映画のようでもあり、木村監督が好きに作った映画のようでもある。私には後者がしっくりくる。カラフルな映像にサンプリング音のミックス、そしてストーリーもテーマもあまり明確にされない、とくると、普段、映画を見る視点を取りあえず脇に置かないといけなくなる。確かに、原爆や戦争の悲惨さを宗教的、特にキリスト教を土台にして訴えていると言えるのだけど、それよりもなによりも、これは木村威夫という人の想いをそのまま映像にしているんではないか、という考えが頭から離れない。

そういう意味では、よくできた作品だと思う。映画好きの学生が作るようなアリモノの素材ではなく、自分の納得のいくモノを使い、主義主張を抑えながらも最後まで徹底して自身のイメージを美しく描き切る。これこそプロなんだろう。しかし、それだけなのだ。あまり知らない人の自叙伝を読んだ時のような感覚だ。面白いんだけど、「で?」って言いたくなるような。ベテランに向かって失礼は承知だが、見ていて目が覚めてしまいました。あまりよくない意味で。。。
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by murkhasya-garva | 2010-05-20 00:50 | 映画