休止中。


by murkhasya-garva
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31

処刑山

処刑山(2009)
b0068787_130413.jpg

久しぶりの映画って感じ。京都みなみ会館に足を運んだのも久しぶりだし、やはり何と言っても劇場で映画を見るのが一番楽しい。





さて、今回は「処刑山」。ノルウェー産のゾムビ映画である。なぜゾンビと言わずゾムビなのかは知らないが、チラシの表記に乗ってここでもそう書くこととしよう。とても良い作品、力作だ。ホラー作品にときどき見られるオフザケも最小限に抑え、しかもゾムビ映画の系譜もきっちり継いでいる。そのうえで自身のオリジナルを盛り込むという粋な計らい。無駄なことは言わないしゾムビとのマンチェイスもちゃーんと(こういう言い方でないとしっくりこない。そのわけは後で説明する)描いており、安心して見ていられる。なんかほのぼのします。

トミー・ウィルコラというこの監督、かなりの映画好きと見た。タランティーノの下で学んだというが彼の作品のように、気に入った映画へのオマージュが所々にある。とはいってもそこまで詳しくないのでアレなのだが、とくに超映画OTAKUのアーランドの言動がいちいちキメに入っているのがすごく気になる。彼らの話題に上がった『13日の金曜日』や『エイプリル・フール』、あるいは“アイルビーバック”で知られている『ターミネーター』だけではない。雪合戦をする際に「覚悟しろよ」と横を向きながら呟く場面、あるいは金貨の入った箱を見つけて顔を黄金に照らし「すっげえお宝」という場面、果てには彼のTシャツにプリントされた『ブレインデッド』さながら脳をぶちまけて死ぬあたり、笑わせてもらうと共に、事あるごとに他の映画を思わせる要素を盛り込み、無駄に説明を加えたりしないのがまた心憎い。

しかも、当然のように話は二転三転する。いつ死ぬの?それとも人間が勝っちゃうの?と気になるのもまた楽しい。一人死に、また一人死にと内臓を引きずり出されて大流血を見せてくれる。まったく、ここまでサービスしてくれるの?!とばかりに充実した内容なのだ。監督もさるもの、それをギャグにすることも忘れない。明るい音楽をBGMに必死こいて人間が反撃を加えるのには、お決まりすぎて笑うしかないし、登場人物のちょっとしたセリフも気が利いている。

さて、うまいうまいと言い続けるのも芸がないので、少し言葉を選びながら感想を続けよう。本作の特徴は、雪山という特有の風土を舞台にした点にある。本作のパーツには、先に挙げたように目新しいものはない。全速力の対ゾムビのマンチェイスは『ドーン・オブ・ザ・デッド』(2004)でも有名だし、山小屋が拠点と言えば『キャビン・フィーバー』(2002)でさえやっている。ゾムビでなければ『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(1999)も思いだされる。だがこれらの使い古されたとも見られるネタを、雪山でやる。それだけで新鮮な印象があった。監督の野心さえも感じられてくる。

それに、私は感動したのだ。『ブレインデッド』よろしく大量の流血シーンをこなしており、それが大方エンターテインメントとして回収されていることに。本来の設定では、ゾムビはナチス部隊というキンキンにヤバいネタをしょっている。時代背景や社会情勢を持って臨むときは、しばしば監督の価値観や思想が作品の核になり、魅力となる。ジョージ・A・ロメロなんて最たる例だ。なのにこの作品は、そんな思想的な云々をうまく回避することに成功している。極限状態の人間がちょっとオカシなことになる、という所でセーブしている。このバランス感覚は素晴らしい。つっても『ブレイン~』も相当好き勝手やってたけどね。ともかくこの監督はもっと面白くなるかもしれない。

あとついでに、人間を切り刻んだり潰したりするとき、2種類はあると感じた。つまり、①主人公たちが人間扱いされない場合 と、②敵が人間でない場合。本作は後者に当たる。おそらくホラーを見るにあたって参考になるかもなので、書くだけ書いておこう。

とりあえず眠いので、ここまで。結論は「面白かった」でいきます。未見の方はぜひご覧ください。実はあまり怖くないけど、すごいナイスなゾムビ映画なのです。
[PR]
by murkhasya-garva | 2010-04-28 01:35 | 映画